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マンションの退去費用が高額! 清掃代や修理費は賃借人が払わなければならないのか?

2022年04月20日
  • 個人のトラブル
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マンションの退去費用が高額! 清掃代や修理費は賃借人が払わなければならないのか?

賃貸物件を退去する際、敷金から清掃代や修理費が勝手に差し引かれて、ほとんど敷金が戻ってこないという経験がある方は多いのではないでしょうか。また、「退去する際の清掃代や修理費は、賃借人が負担すべきものだ」と思っている方もおられるかもしれません。

法律上、賃貸借契約において清掃代や修理費は賃貸人と賃借人のどちらが負担することになっているのか、また、特約で定めた場合にはその効力はどうなるのかなど、わからないことも多いでしょう。

本コラムでは、賃貸物件の退去時の退去費用の問題について、ベリーベスト法律事務所 福山オフィスの弁護士が解説いたします。

1、民法での原状回復義務の考え方

  1. (1)原状回復義務とは?

    賃貸借契約が終了した場合には、借りたときの状態で返すことが求められます。これを「原状回復義務」と言います
    しかし、例えば、新築物件を借りて20年住んだ後に新築と同じ状態で返すことはできないように、経年変化や通常の使用によっても建物には損傷が生じます。このような損傷は、建物を使用することにより当然生じるものであり、その減価償却費や補修費用などの必要経費を含めて家賃を支払っていると考えられています。

    原状回復義務は、改正前の民法では明文がありませんでしたが、平成29年民法改正(令和2年4月1日施行)により明文化されました。現行民法621条では、「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」と規定されています。

    この条文では、損傷が生じた場合には原状回復義務があるとしつつ、その損傷には「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く」と規定されています。さらに「その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」として、通常損耗や経年変化ではない損傷であっても賃借人に責任がない損傷については原状回復義務を負わないとされているのです

    「通常損耗」や「経年変化」の具体的な例は、以下の通りです。

    【通常損耗の例】

    ① 冷蔵庫跡の壁の黒ずみ
    生活するうえで、冷蔵庫を置くことは当然のことです。また、通常は冷蔵庫を部屋の真ん中に置くことはせず、壁際に設置するでしょう。
    この時、冷蔵庫による静電気の発生などにより、壁が黒ずむことがあります。このような黒ずみは生活するうえで当然生じるものであるため、通常損耗とみなされ、賃借人がクロスの張り替え費用など負担する必要はありません。

    ② カーペットの家具跡など
    カーペットに家具を置けば家具の脚部分がへこんだり、跡が付いたりします。しかし、生活するうえで家具を置くことは当然のことなので、通常損耗とみなされます。
    したがって、退去の際に、カーペットの張り替え費用を賃借人が負担する必要はありません。

    ③ 画びょう、ピン等の穴など
    部屋にカレンダーを貼る場合には、画びょうなどで付けることが多いと思います。そうすると壁やクロスに穴が空きますが、画びょうを使うことは生活するうえで想定されることです。
    したがって、画びょうやピンにより壁やクロスに空いた穴も、下地ボードの張り替えが要らない程度のものは、通常損耗とみなされ、賃借人はクロスの張り替え費用などを負担する必要はありません。


    【経年変化の例】

    ① 日光などによる畳、クロスの変色など
    部屋には日光が差し込みますが、日光によって畳やクロスなどが変色することがあります。
    このような変色は経年変化と考えられるので、畳やクロスの張り替え費用について賃借人が負担する必要はありません。

    ② トイレ、風呂などのゴム部分の劣化、黄ばみ
    トイレやお風呂にはゴムパッキンなどが使われていますが、ゴムは年数と共に劣化しますし、プラスチックの製品も年数がたつと黄ばみなどが生じます。
    これらも経年変化であるため、交換費用について賃借人が負担する必要はありません。
  2. (2)次の顧客獲得のため費用

    退去時によく敷金から差し引かれるものとして、専門業者によるハウスクリーニング代や、トイレの消毒代などがあります。
    しかし、ハウスクリーニング代やトイレの消毒代は、大家が次の入居者を呼び込むための費用です。そのため、これらの費用は大家が負担すべきものであり、前の入居者が負担する必要はありません
    同様に、鍵の交換、給湯器の交換、エアコンの交換などについても、次の入居者を呼び込むための措置と考えられるために、その費用はオーナーが負担すべきであるとみなされます。

  3. (3)賃借人が負担しなければならない費用

    ① タバコのヤニ
    喫煙者においてタバコを吸うことは生活の一部であり、タバコのヤニによってクロスが変色したとしても通常損耗となる場合があります。
    しかし、ヤニによる著しい変色の場合には、通常の使用による損耗を超えるものとしてクロスの張り替え費用は賃借人が負担する必要があるのです

    ② 落書きやキズ
    子どもの落書きやキズなどは故意または過失による損傷なので、修理費用は賃借人が負担する必要があります。

    ③ カーペットの汚れ
    カーペットに飲み物をこぼした後、手入れを怠ったため変色しているなど、故意または過失によるカーペットの損傷による交換費用は賃借人の負担となります。


    原状回復費用については、国土交通省が公開している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や東京都が公開している「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」などにも詳しく記載されているので、ぜひ参考にしてみてください。

2、特約と民法の関係について

上述したように、原状回復義務については法律に明確に規定されているため、経年劣化や通常使用による損耗については、賃借人が費用を負担する必要がないとみなせます。しかし、これらの規定は「任意規定」であるため、賃貸契約において、通常損耗や経年変化によって補修が必要になった費用を賃借人の負担とする特約は、消費者契約法10条の適用がなければ有効となるのです。

ただし、抽象的に「原状回復に必要な費用は全額賃借人の負担とする」というような特約は許されません。最高裁の見解は、「建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要である」というものになっています(最高裁平成17年12月16日判決)。

3、退去費用を高額化させないために気を付けるべきこととは?

平成29年民法改正によって、経年変化や通常使用による損耗については、一般に賃借人が費用を負担するわけではないことが明確になりました。
しかし、大家が、「できるだけ、賃借人に費用を負担させてやろう」という思惑を抱いていることもあります。そのため、「賃借人が故意または過失によりキズを付けた」などと主張して、敷金から差し引いてくる可能性があるのです。

退去費用を不当に請求されないようにするためには、入居時にキズや不具合がないかを確認することが重要です。キズがある場合には、写真を撮ったうえで、不動産屋などにキズがある旨伝え、大家から確認書をとるなどしておくとよいでしょう。ドアの不具合や窓の開け閉めなども確認しておくことをおすすめします。

さらに、契約書について内容を確認する必要があります。例えば、「退去時のクリーニング費用は賃借人の負担とする」、「退去時の畳の張り替え費用、鍵の交換費用、給湯器の交換費用は賃借人の負担とする」などと書かれている場合には、退去時にこれらの費用を請求されることもありうるので、嫌なら削除を求めるようにしてください。
内見した時点で物件のことが気にいって、「これらの費用を負担してもいいから、この物件を借りたい」と希望する場合にも、交渉の余地はあります。例えば、「退去時のクリーニング費用(3万円)は賃借人の負担とする」というように、具体的な金額を入れてもらうように要求することで、不当に高額な退去費用を請求される可能性を未然に防ぐことができます。

なお、退去時に費用についてトラブルになった際は、契約書の内容を元に検討することになるので、契約書は大事に保管しておいてください。
また、入居時に確認したキズの写真なども、一緒に保管しておいてください。入居の時点でキズがあったことを示す証拠を残すことで、入居者が付けたキズではないことを証明できるからです。

4、退去費用の高額請求で困った際の相談先とは

  1. (1)独立行政法人国民生活センター

    国民生活センターは、「独立行政法人通則法」および「独立行政法人国民生活センター法」に基づき設立されている法人です。「国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行うとともに、重要消費者紛争について法による解決のための手続を実施し、及びその利用を容易にすること」を目的とした機関です(同法2条)。
    賃貸物件の退去時のトラブルも、独立行政法人国民生活センターが扱う対象となっています。

  2. (2)消費生活センター

    県の消費生活センターや市区町村の消費生活センターにも、国民生活センターと同様に、賃貸物件の退去時のトラブルを相談することができます。

  3. (3)法律事務所(弁護士)

    退去時のトラブルも法律問題なので、弁護士に相談することができます。大家との具体的な交渉も、弁護士に任せることができます。

5、まとめ

今回は、マンション退去時の退去費に関するトラブルについて解説してきました
かつては、クリーニング代や畳の張り替え費用など、本来なら大家が負担すべき費用を敷金から勝手に差し引いて、賃借人の敷金がほとんど返ってこない、という状況は当たり前のものだったかもしれません。

しかし、インターネットの普及などもあって、「多くの費用は、賃借人が退去時に支払う責任を負うものではない」という知見が共有されつつあります。それもあってか、退去時に大家と賃借人との間でトラブルが生じることも多発しているのです。

通常、「費用を請求されて、支払わされる」という状況に対して、人は強く反発します。しかし、「敷金として既に預けているお金から、差し引かれる」というかたちで請求されると、心理的な抵抗感は薄くなってしまいます。そのため、請求の正当性を具体的に検証することを諦めて、請求を認めてしまう方も多くおられるでしょう。
しかし、敷金はあくまで大家に預けているだけで、退去時には不当に差し引かれることなく賃借人の手元に戻るべきものです
ご自身の財産と権利を守るためにも、高額な退去費用を請求したら、その請求の正当性についてしっかり検討しましょう。

自分で判断できない場合には、弁護士に相談することで、敷金が多く戻ってくる可能性を高められます。広島県福山市や近隣市町村にお住まいの方は、ベリーベスト法律事務所 福山オフィスまで、お気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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