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未払い残業代請求は在職中にすべき? メリットや注意したいポイント

2021年11月09日
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未払い残業代請求は在職中にすべき? メリットや注意したいポイント

広島県の統計によると、2020年中の同県内事業所における所定外労働時間は、規模5人以上の事業所で10.1時間(前年比15.3%減)、規模30人以上の事業所で11.5時間(前年比17.6%減)でした。

在職中に残業代請求を行うと、証拠収集が容易であり、かつ労働条件の改善が見込めるなどのメリットがあります。その一方で、「会社から報復を受けてしまうのではないか」と不安に思う方もいらっしゃるかと思います。正当な残業代請求への報復は違法なので、弁護士に相談したうえで毅然(きぜん)と対応しましょう。

この記事では、未払い残業代請求を在職中に行うメリットや注意点について、ベリーベスト法律事務所 福山オフィスの弁護士が解説します。

1、在職中に残業代を請求するメリット

在職中に、会社に対して残業代を請求するのは気まずいと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、在職中に残業代請求を行うことには以下に挙げるメリットがあるため、いつ請求を行うかはケース・バイ・ケースで判断しましょう

  1. (1)残業の証拠を収集しやすい

    残業代請求を成功させるには、残業の事実を立証する証拠を収集することが大切です。

    在職中であれば、タイムカードなどの残業の証拠に対して容易にアクセスできますので、残業の証拠が収集しやすいメリットがあると言えます。

  2. (2)成功すれば労働条件の改善が見込める

    残業代の未払いは労働基準法違反であり、従業員によって労働基準監督署に申告が行われると、会社が行政指導や刑事処分を受けることになりかねません。

    そのため、いったん残業代未払いの問題が表面化すると、会社はこれまでの取り扱いを見直し、残業代をきちんと支払うようになる可能性が高いといえます。
    残業代請求後も在職していれば、改善された労働条件の下で、以前よりも快適に働くことができるでしょう。

  3. (3)消滅時効の完成を阻止できる

    残業代請求権には、以下のとおり消滅時効があります。

    2020年3月31日以前に発生したもの 支払期日から2年
    2020年4月1日以降に発生したもの 支払期日から3年


    上記の期間を経過した場合、会社に消滅時効を援用されると、もはや残業代の支払いを請求することができなくなってしまいます

    「退職してから残業代を請求しよう」と思っても、消滅時効が完成してしまっては元も子もありません。
    もし消滅時効が完成しそうな場合には、在職中であっても、残業代請求を検討しましょう。

2、在職中の残業代請求が原因で報復されたら?

在職中に残業代請求を行うと、「会社から報復されるのではないか」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。

残念ながら、残業代請求に対する報復は、ないとはいいきれません
しかし、正当な残業代請求に対する報復は明確に違法であるため、弁護士に相談して毅然と抗議してください。

  1. (1)考えられる報復のパターンと違法性

    残業代請求に対する従業員への報復のパターンとしては、たとえば以下のようなケースが考えられます。
    これらの報復はすべて違法です

    ① 上司などによる嫌がらせ行為
    細かいミスを延々と説教されたり、部下に指示して集団で従業員を無視したりするケースです。
    このような嫌がらせ行為はパワハラに該当し、会社が安全配慮義務違反(労働契約法第5条)や使用者責任(民法第715条第1項)の責任を負う可能性があります。

    ② 減給や降格など
    残業代請求をした従業員の同意なく、給料を減らしたり、降格させたりするケースです。
    従業員の同意がない労働条件の不利益変更は、原則として労働契約法に違反し、認められません(労働契約法第8条参照)。
    また、正当な残業代請求は懲戒事由に該当しないため、懲戒処分として減給や降格が行われた場合も、やはり違法となります。

    ③ 従業員の意思に反する配置転換
    残業代請求をした従業員を、仕事のない部署に追いやる、遠く離れた勤務地へ転勤させるなど、意思に反する配置転換によって報復するようなケースです。
    他の正当な理由がないにもかかわらず、正当な残業代請求を理由に従業員の意思に反する配置転換を行うことは、会社の人事権の濫用に当たり違法です。

    ④ 解雇
    残業代請求を理由に従業員が解雇されるケースです。
    正当な残業代請求は、そもそも懲戒事由や解雇事由に該当しません。
    また、残業代請求を理由とする解雇は、解雇権濫用法理(労働契約法第16条)にも明確に違反するため、違法・無効となります。
  2. (2)報復に対しては弁護士を通じて抗議する

    上記のとおり、正当な残業代請求に対する会社の報復は、すべて違法行為です。

    もし会社から報復を受けた場合、お早めに弁護士へご相談ください
    弁護士を通じて会社に抗議することで、違法な報復行為がやむ可能性があります。

    また、報復が続くようであれば、弁護士に依頼することで、会社に対して労働審判や訴訟などの法的措置を講ずることも可能です。

3、残業代請求に必要な準備と手続きの流れ

会社に対して残業代請求を行う際には、事前の準備として、残業の証拠を収集したうえで、未払い残業代を正確に計算することが必要です。

その後、会社と交渉を行い、さらに労働審判・訴訟といった法的手続きを活用して、正当な残業代の支払いを求めましょう。

  1. (1)残業の証拠収集・未払い残業代の計算

    残業の証拠を集めることは、交渉において会社に支払い義務を認めさせる場合も、労働審判や訴訟で裁判官に主張を認めてもらう場合も、同様に重要です。

    <残業の証拠の例>
    • タイムカード
    • PCのログイン履歴
    • 社用メールの送信日時
    • ICカードの乗車記録
    • 業務日誌
    • メモ書き
      など


    できる限り豊富に証拠を収集し、残業の事実を立証できるように準備しましょう

    証拠から残業時間数が判明したら、労働基準法の規定にのっとって、未払い残業代を正確に計算します。

  2. (2)会社との残業代支払い交渉

    交渉をまとめて会社に残業代を支払わせることができれば、労働者としては手間・時間・費用が少なく済みます。

    残業の確固たる証拠と、法的根拠にのっとった金額を提示して、残業代の支払いを免れない旨を説得的に主張しましょう。
    法的手続きに発展することは会社にとってもデメリットが大きいため、任意に残業代の支払いに応じる可能性は大いにあります

  3. (3)労働審判または訴訟

    会社が残業代の支払いに応じない場合には、労働審判の申し立てを検討しましょう。

    労働審判は、原則として3回以内の期日で審理が完了する、迅速に労務紛争を解決することを目的とした法的手続きです。
    残業の証拠がきちんとそろっていれば、最終的には審判が行われ、会社に対して残業代の支払いが命じられます。

    ただし、労働審判に対して異議が申し立てられると、訴訟に場を移して引き続き会社と争わなければなりません。
    そのため、会社と主張があまりにもかけ離れている場合には、最初から訴訟を提起することも有力です。

    労働審判と訴訟のどちらを選択すべきか、どのように準備を進めるべきかについては、弁護士にご相談ください。

4、残業代請求に当たっての注意点・弁護士に相談すべき理由

残業代請求を行う際には、労働基準法の規定を踏まえた法的検討が必要です。
以下のように法的に難しいポイントも存在するうえ、会社との交渉・法的手続きは大きな負担になるので、弁護士への相談をおすすめいたします

  1. (1)「名ばかり管理職」の問題に注意

    労働基準法第41条第2号に基づき、いわゆる「管理監督者」については、残業代の一部が発生しないことになっています。

    ただし「管理監督者」とは、一般的な管理職を意味するわけではなく、経営者と一体的な立場にある労働者のみを指す限定的な概念です。
    具体的には、人事権・待遇・時間的裁量などの観点から、経営者と同等と評価されて初めて、残業代の一部を支払わなくてよい管理監督者に当たります。

    多くの会社において、経営者と一体的な立場とは到底言えない労働者を、単に「管理職」だからという理由で「管理監督者」と取り扱い、残業代を支給しない例が見受けられます。
    もし「管理監督者だから残業代を支払わない」という取り扱いを受けている場合は、一度弁護士にご相談ください

  2. (2)残業代の計算方法は勤務形態ごとに異なる

    労働者の賃金の算定方法は、月給制以外にも、時給制・日給制・週給制・年俸制など、さまざまなパターンがあります。

    また、変則的な勤務時間を採用する変形労働時間制(労働基準法第32条の2、第32条の4)やフレックスタイム制(同法第32条の3)、さらに固定残業代制なども認められており、それぞれ残業代の計算方法が異なります。

    残業代請求の際には、ご自身の勤務形態に合わせた計算方法を用いる必要がありますが、労働基準法のルールを正確に読み解くことはなかなか難しいかもしれません。
    法的に正確を期すため、残業代の計算は弁護士に依頼することをおすすめいたします

  3. (3)労働者個人で会社に対峙(たいじ)するのは大変

    会社は経済力・マンパワー・知識など、さまざまな面で労働者よりも優位であり、労働者が個人で会社に対峙するのは非常に大変です。

    労働者の方が弁護士に相談すれば、法的知識と経験を加えることで、会社との交渉力格差を埋めることができます。
    会社としても、弁護士との交渉では慎重にならざるを得ず、結果的に残業代が適正に支払われる可能性が高まります

    残業代の未払いにお悩みの労働者の方は、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

5、まとめ

残業代請求を在職中に行うことは、証拠収集が容易な点や、労働条件改善の恩恵を受けられる点などのメリットがあります。
会社からの報復を懸念する方もいらっしゃるかと思いますが、正当な残業代請求に対する報復は違法行為なので、弁護士を通じて毅然と抗議してください。

ベリーベスト法律事務所 福山オフィスでは、正当な残業代の支払いを実現するため、労働者の方をサポートいたします。

残業代の未払い、サービス残業にお悩みの方は、ぜひ弁護士までご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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