リボ払いにも過払い金はある? 返還請求のデメリットと注意点
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貸金業法等の改正法が施行されたことにより、平成22年(2010年)6月以前にリボ払いを利用していたに方は、過払い金が発生している可能性があります。
心当たりがある場合には、過払い金の返還を請求するため、早めに弁護士に相談しましょう。
本コラムではリボ払いの過払い金に関して、発生条件や返還されないケース、返還請求のデメリットや弁護士に依頼するメリットなどを、ベリーベスト法律事務所 福山オフィスの弁護士が解説します。
1、リボ払いでも過払い金は発生する?
クレジットカードのリボ払いについては、利用していた時期や条件によっては、借り入れと同様に過払い金が発生することがあります。
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(1)リボ払いとは
「リボ払い」とは、クレジットカード利用料金の支払い方法のひとつです。
リボ払いを設定すると、毎月の利用額にかかわらず、「定額方式」または「残高スライド方式」のいずれかによって利用料金の請求が行われます。
- ① 定額方式
毎月、一定額の利用料金が請求されます。
(例)毎月3万円ずつ - ② 残高スライド方式
基準時点での残高に応じて、毎月の請求額が段階的に増減します。
(例)残高10万円未満なら2万円、10万円以上20万円未満の場合は4万円……を支払う
大きな買い物をした月でも、リボ払いを設定しておけば支払額が大幅に増えることはありません。
そのため、毎月の出費を安定させたい人などを中心に、リボ払いは幅広く活用されています。 - ① 定額方式
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(2)過払い金とは
「過払い金」とは、利息制限法の上限を超えて支払った金利のことです。
利息制限法第1条では、元本額に応じて以下の上限金利が定められています。
元本額 上限金利 10万円未満 年20% 10万円以上100万円未満 年18% 100万円以上 年15%
上記の上限金利を超える利息の合意は、超過部分について無効となります。
ただし、平成22年6月18日に貸金業法等の改正法が施行されるまでは、債務者が任意に支払ったなど一定の条件を満たす場合に限り、年29・2%までの利息の支払いを有効とする「みなし弁済」の規定が存在しました。
各金融機関やカード会社は、みなし弁済の規定をふまえながら利息制限法の上限を超える金利(=グレーゾーン金利)を設定して、融資やキャッシングサービスの提供を行っていたのです。
しかし、利用者の無知に付け込んで過大な利息を収受する点が問題視されて、最高裁によって過払い金の返還を認める判例が確立されました。
その後は、過払い金請求(過払い金返還請求)が盛んに行われるようになったのです。
過払い金請求を認める最高裁判例が確立した平成18年以降、利息制限法の上限を超える金利を設定する貸金業者やカード会社は減少して、平成22年の改正貸金業法等の施行以降にはほぼ見られなくなりました。
しかし、それ以前の時期に借り入れやキャッシングサービスなどを利用していた場合には、依然として過払い金が発生している可能性があります。 -
(3)リボ払いで過払い金が発生する条件
クレジットカードのリボ払いには、「手数料」という名目の金利が設定されています。
リボ払いの金利にも利息制限法が適用されるため(同法第3条参照)、過払い金が発生することがあります。
リボ払いについて過払い金が発生するのは、実質的な金利(手数料など、元本以外の一切の金銭)が利息制限法の上限金利を超過する場合です。
ただし、前述の最高裁判例・法改正の経緯により、実際に過払い金が発生するのは、リボ払いを平成22年6月17日以前に利用した場合に限定されるでしょう。
2、過払い金が返還されないケースの例
過払い金が発生しているとしても、以下のケースについては、過払い金が返還されない可能性が高い点に注意してください。
- ① 過払い金請求権の消滅時効が完成した
- ② カード会社がすでに倒産している
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(1)過払い金請求権の消滅時効が完成した
過払い金請求権は、最後の取引をした時期に応じて、以下の期間が経過すると時効消滅します。
最後の取引日 時効期間 2020年3月31日以前 最後の取引日から10年 2020年4月1日以降 最後の取引日から5年
なお、同じ債権者に対して完済と借り入れを繰り返した場合は、取引の一連性が認められる範囲ごとに時効期間が進行します。
時効期間が経過して、カード会社が消滅時効を援用すると、過払い金請求権を行使できなくなります。過払い金請求権の時効完成は、内容証明郵便の送付や訴訟の提起によって阻止できるため、請求の準備にはできる限り早く着手しましょう。 -
(2)カード会社がすでに倒産している
過払い金請求先のカード会社がすでに倒産している場合には、過払い金を回収できない可能性は高いといえます。
ただし、リボ払いを利用した当時のカード会社が消滅していても、たとえば他の会社に吸収合併されている場合には、合併先の会社に過払い金を請求することができます。
過払い金請求の可否や請求先が不明な場合には、弁護士にご相談ください。
3、リボ払いについて過払い金請求をするデメリット
リボ払いについて過払い金請求をする際には、以下のデメリットがあることに注意しましょう。
- ① クレジットカードが強制解約となる
- ② 事故情報が登録される可能性がある
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(1)クレジットカードが強制解約となる
カード会社に対して過払い金請求を行うことは、クレジットカードの強制解約事由に該当するのが一般的です。
したがって、カード会社に対して過払い金請求をする場合、その会社と契約しているクレジットカードは利用できなくなります。
普段からメインのカードとして利用している場合には、他のクレジットカードへ切り替えなければなりません。 -
(2)事故情報が登録される可能性がある|他のクレジットカードへの影響も
利用料金の債務が残っている状態で過払い金請求をすると、債務残高に過払い金が充当されます。過払い金が債務残高を上回れば、完済となります。
反対に、債務残高が過払い金を上回った場合には、過払い金請求後も債務が残ることになります。
この場合、「任意整理」をしたものと取り扱われて、個人信用情報機関に事故情報が登録される可能性があることに注意してください。
個人信用情報機関に事故情報が登録されると、一定期間は新たに借り入れを利用することができなくなります。
さらに、新規にクレジットカードを契約できなくなるほか、利用中のクレジットカードも強制解約となってしまう可能性も高いのです。
カード会社に対して過払い金請求を行う際には、クレジットカードの利用料金の未払い残高を事前に調べて、信用情報に傷がつく可能性についてもチェックしましょう。
4、リボ払いの過払い金請求を弁護士に依頼するメリット
リボ払いの過払い金請求を行う際には、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に過払い金請求を依頼することには、主に、以下のようなメリットがあります。
- 適正額の過払い金を回収できる
- 過払い金請求権の消滅時効完成を阻止できる
- 過払い金請求をすべきかどうか、適切に判断できる
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(1)適正額の過払い金を回収できる
弁護士は、利息制限法に基づく引き直し計算をして、過払い金の額を正確に計算したうえで請求を行うことができます。
法的根拠に基づく検討と準備によって、適正額の過払い金を請求・回収できる点が、弁護士の依頼することの大きなメリットとなります。 -
(2)過払い金請求権の消滅時効完成を阻止できる
過払い金請求を行う際には、消滅時効の完成を防ぐことについて十分に注意しなければいけません。
弁護士に依頼すれば、過払い金請求権の時効完成を阻止するための、内容証明郵便の送付や訴訟の提起などを任せることもできます。
専門家としてスケジュール管理なども厳密に行うため、時効消滅によって取り返しのつかない事態になることを予防できるでしょう。 -
(3)過払い金請求をすべきかどうか、適切に判断できる
過払い金請求を行うことには、クレジットカードの解約や事故情報の登録などのデメリットが存在します。
過払い金が発生していないにもかかわらず過払い金請求を行ってしまうと、上記のデメリットだけを被ることになってしまいます。
そのため、過払い金請求を行うべきか否かについて、慎重に検討してから対応しなければいけません。
弁護士に相談すれば、過払い金請求を行うべきか否かにつき、法的な観点に基づく具体的なアドバイスを受けられます。
状況によっては他の債務整理手続きを提案するなど、借金問題を解決するための総合的なサポートが得られるでしょう。
5、まとめ
リボ払いについて、利息制限法の上限を超えて金利(手数料等を含む)を支払っている場合には、過払い金請求が可能です。
とくに、平成22年6月以前にリボ払いを利用したことがある方は、過払い金請求の可否を検討するため、まずは弁護士に相談してみましょう。
ベリーベスト法律事務所では、過払い金請求に関するご相談を随時受け付けております。過払い金の有無や金額の検討・計算、過払い金請求をすべきか否かのアドバイス、実際の請求手続きなど、さまざまな場面における総合的なサポートを提供いたします。
リボ払いについて過払い金の有無を確認したい方やカード会社に過払い金請求をしたい方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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