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相続人の「廃除」とは? 廃除となったら遺産はどうなる?

2023年08月08日
  • 遺産を受け取る方
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相続人の「廃除」とは? 廃除となったら遺産はどうなる?

遺産相談において、被相続人の遺産は、遺言によって、被相続人がある程度までは自由に配分することができます。

しかし、相続人にも、「遺留分」という最低限の取り分があります。被相続人が「遺留分についても一部の相続人には一切渡したくない」と希望する場合には「廃除」という手続をとる必要があるのです。

もし、親やきょうだいから「お前は親不孝者だから相続人から廃除する」などと言われてしまったら「相続財産は一切もらえなくなってしまうのだろうか?」と不安になってしまうでしょう。

本記事では、廃除とはどのような手続きなのか、廃除されたらどうなるのか、廃除を阻止する方法やその後に対応できることなどについて、ベリーベスト法律事務所 福山オフィスの弁護士が解説します。

1、相続人の廃除の概要

  1. (1)相続人の廃除とは

    相続人の廃除とは、被相続人が、遺留分を有する相続人について家庭裁判所に「廃除」を求めて、これが審判で認められることにより相続人から除外される制度です。

    親と子で意見が対立することはいくらでもあり、仲が悪くなることも当然あります。
    また、世の中には、親を虐待したり、親の財産を勝手に処分したりするなど、相続人として適格性を欠くような人もいるでしょう。
    廃除制度は、このような人の相続権を奪うために設けられています。

    廃除が認められるためには、①被相続人に対して虐待をしたこと、②被相続人に対して重大な侮辱を加えたこと、③その他の著しい非行があったこと、の三点が必要とされます。
    つまり、被相続人が単に特定の相続人を気にいらないという理由だけでは、廃除はできないのです

    虐待の例としては、殴る蹴るなどの暴力を振るうことや、「死んでしまえ」などの暴言を吐くことがあります。重大な侮辱の例としては、「ボケ老人」とののしる行為があります。著しい非行の例は、犯罪を行ったことや、多額の浪費などです。

    廃除できる相続人は、被相続人が死亡したと仮定した場合の、遺留分を有する相続人です。遺留分を有するのは、兄弟姉妹を除く法定相続人です。たとえば、結婚していて子どもがいるような場合は、妻と子どもが廃除の対象になります。
    相続人の廃除をされた場合、その相続人は相続権を失いますが、その相続人に子どもがいる場合には、その子どもの代襲相続権は失われません

  2. (2)廃除の手続

    相続人の廃除をするための手続きとしては、①被相続人が生存中に自分自身で家庭裁判所へ請求する方法と、②被相続人の遺言に基づき遺言執行者が家庭裁判所へ請求する方法があります(民法892条、893条)。
    申し立てる場所は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所になります。
    具体的な必要書類は、以下のとおりです。

    • ① 被相続人が生前申立てを行う場合、申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
    • ② 遺言による場合、遺言者の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
    • ③ 廃除を求める推定相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)
    • ④ 遺言による場合、遺言書写しまたは遺言書の検認調書謄本の写し
    • ⑤ 遺言による場合で家庭裁判所の審判により選任された遺言執行者が申し立てる場合、遺言執行者選任の審判書謄本


    審判の結果、廃除が認められた場合には、審判確定の日から10日以内に廃除審判書謄本及び確定証明書を添付して、区役所などに廃除届を提出する必要があります。この届出を行うことで、廃除された相続人の戸籍に、「推定相続人から廃除された」という旨が記載されます。

  3. (3)廃除の効果

    廃除された相続人は、被相続人の死亡のときに遡って、相続人から除外されます。遺留分も認められません。
    ただし、廃除された推定相続人に子どもがいる場合には代襲相続されるので、被相続人に孫がいる場合には、その孫が廃除された推定相続人に代わり相続人になります。そのため、もしその孫にも相続させたくないという思いがあっても、期待した効果が得られないという問題があります。

  4. (4)相続欠格との違い

    相続人の廃除と似た制度として、「相続欠格」という制度があります。
    相続欠格とは、相続人が一定の欠格事由に該当した場合には、欠格者として法律上当然に相続権を失うというものです(民法891条)。
    民法上の欠格事由は、具体的には、以下の五種類となります。

    • ① 故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために、刑に処せられた者
    • ② 被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者。(ただし、その者に是非の弁別がない(物事の善悪の区別をする能力がない)とき、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときは、この限りでない)
    • ③ 詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、または変更することを妨げた者
    • ④ 詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者
    • ⑤ 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者


    相続欠格が「相続人の廃除」と異なるのは、被相続人の意思にかかわらず、法律上当然に相続権を失う、という点にあります
    相続人を廃除するためには、被相続人が自ら裁判所に廃除の請求をするか遺言で廃除の意思を記載しておく必要があります。一方で、相続欠格は何ら手続をすることなく、当然に相続人でなくなるのです。

2、廃除を取り消す方法

  1. (1)取り消し請求をする

    被相続人が一度行われた廃除の取り消しを希望する場合には、家庭裁判所に廃除の取り消しを請求することができます(民法894条1項)。また、遺言により廃除を取り消すことも可能です。この場合、遺言執行者が家庭裁判所に請求することになります(民法894条2項)。

    廃除を求めたけれども、その後、廃除された者を許して相続権を認めてやりたいという場合にはそれを拒む理由はないので、取り消しが認められる、という制度です。
    取り消しに審判手続が必要とされるのは、廃除者から脅されていないかなどを確認するためです。
    なお、廃除事由が消滅したことなどは、取り消し請求の要件ではありません。

  2. (2)廃除申立てを却下してもらう

    廃除請求をされた相続人は、審判において主張する機会が得られます。
    具体的には、廃除の要件である、①虐待、②重大な侮辱、③著しい非行がなかったと主張して、申立ての却下を求めることができるのです。
    審判の結果、廃除申立てが却下となれば、廃除の効果は認められないため、少なくとも遺留分については請求することができるようになります

3、廃除されても遺産を受け取れるケース

  1. (1)遺言による遺贈

    遺産は、被相続人が所有した財産であるため、被相続人が自由に配分を決めることができるのが原則です。
    法定相続分というのは、遺言などによって配分が明らかにされていない場合の目安にすぎません。そのため、遺言によって相続人でない人にも遺産を配分することができるのです。

    相続人を廃除されると相続人ではなくなりますが、遺言による遺贈は相続人以外でもできるので、廃除された人も遺贈を受けることができるわけです
    被相続人が自ら廃除したものの、やはり自分の子どもであることには変わりはないから不憫に思い遺産の一部を遺贈したり、廃除された人が反省して心を入れ替えたりしたような場合には、廃除の取り消しの請求をするのは面倒なので、遺贈という形で遺産を分配することがあります。

  2. (2)代襲相続

    上述したとおり、廃除された者は相続を受けられませんが、その者に子どもがいる場合には、子どもは代襲相続権を有します。そのため、子どもが小さい場合には、実質的に廃除された者に遺産が渡ってしまうことになるのです

4、相続でトラブルになったときは弁護士に相談を

親などから相続人の廃除の手続をすると言われた場合、ショックを受けるかもしれません。しかし、法律上の制度としてある以上、裁判所が認めれば相続権は消滅してしまいます。そうならないためには、廃除の請求を裁判所にする前に交渉をすることが重要です。

とはいえ、被相続人に相続人の廃除の請求をされる位なので、被相続人と話し合いをすること自体、難しいことが多いでしょう。
そのようなときには、弁護士に依頼することをおすすめします。早期から弁護士が相談を受けていれば、廃除の要件を満たさないような場合には、被相続人にそのことを伝えて、請求することを思いとどまってもらうことができるかもしれないからです。

それでも廃除の請求をされてしまった場合には、裁判所に対して、要件を満たさない旨を主張して、請求を却下するように、弁護士がはたらきかけることができます。

相続は、金銭が絡むために、感情的な対立が生じやすい事柄です。普段仲が良かった兄弟姉妹の間ですら、相続争いが発生することはめずらしくありません。親と子の関係がこじれている場合には、親子で話し合いをすることもできないため、怒りにまかせて廃除の請求をするというケースも多々あるのです。

遺産に関する話し合いに、第三者である弁護士が介入することで、当事者の双方が冷静になることができ、「廃除などしない」ということになる場合もあります。そして、介入が早ければ早いほど、対策の効果は高まります。相続について気になることがあったら、まずは、弁護士に相談してみてください。

5、まとめ

本コラムは、「相続人の廃除」について、その概要や手続、効果などを解説してきました。廃除されそうになった場合には、まずは、裁判所に廃除の請求をされる前に交渉することが重要です。交渉によって、廃除の請求を踏みとどめさせられる可能性があるからです。

親子の対立は、コミュニケーション不足が原因で生じることも多いものです。
当事者どうしでは互いに感情的になり冷静な話し合いができない場合でも、弁護士に依頼して介入してもらえば、無用な争いを避けられます。

ベリーベスト法律事務所では、遺産相続に関するお悩みを承っております。相続上のトラブルはもちろん、相続手続をして欲しいというご相談もお引き受け致しております。お気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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