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海外逃亡しても逮捕されるのはなぜ? 時効を待てば罪は消える?

2023年11月20日
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海外逃亡しても逮捕されるのはなぜ? 時効を待てば罪は消える?

平成19年に起きた福山市にある会社の株価操縦事件で証券取引法違反の疑いをもたれていた元弁護士が、9年にわたる海外逃亡の末にタイで身柄を拘束され、日本へと強制送還されて逮捕されました。

日本国内で罪を犯した者が海外へと逃亡する事例はわずかながら存在しますが、その目的は「逮捕や刑罰を免れるため」でしょう。しかし、この事例では、当時は株価操縦の時効が5年であったのに、事件から9年が経過したあとに逮捕されています。

なぜ海外逃亡して時効が過ぎているのに逮捕されたのでしょうか? そもそも、海外に逃げているのに日本で犯した罪を理由に逮捕されるものなのでしょうか? 本コラムでは、海外逃亡と逮捕や時効の関係を、ベリーベスト法律事務所 福山オフィスの弁護士が解説します。

1、海外逃亡しても逮捕されるのはなぜ?

「現実にも罪を犯して海外に逃亡を図る」という行動は、映画やドラマなどのフィクションの世界だけでなく、現実にも見受けられます。
しかし、現実的には出国さえできずに逮捕されたり、逃亡先で身柄を確保されたりすることが大半であり、海外に逃亡すれば安全になるわけではありません。

では、なぜ海外逃亡しても逮捕されてしまうのでしょうか?

  1. (1)出国前に出入国管理局へ手配されるから

    犯罪を認知して容疑者を特定した警察は、容疑者が海外へ逃亡する可能性があると判断すると、出入国管理局に手配します。

    少し古い統計ですが、平成16年版の警察白書によると、海外逃亡が判明している、あるいはそのおそれがある容疑者の数は平成15年末の時点で703人でした。
    そのうち、出国年月日が判明しているのは199人で、犯行当日に出国した者が8人、犯行翌日に出国したのは13人で、合計79人が犯行から10日以内に出国しています。

    警察は「海外逃亡を防ぐには迅速な手配が必要」と考えているため、身辺を整理して海外へと出国するよりも前に出入国管理局へと手配されて、出国前に逮捕されてしまうのです

  2. (2)日本の警察と海外の捜査機関が連携しているから

    日本の警察だけでなく、海外各国の警察はそれぞれに独立した機関です。
    しかし、海外逃亡や国際的な組織による犯罪に対応するには、各国警察の連携が欠かせません。
    そこで、世界195の国と地域は、インターポール・ICPOとも呼ばれている「国際刑事警察機構」に加盟して、各国の国内法の範囲内で連携を図っています。
    もちろん、日本も国際刑事警察機構の加盟国です。

    国際刑事警察機構には「国際手配書」という制度があり、求める措置の内容に応じて赤・青・緑・黄・黒・オレンジ・紫の7色の手配書と特別手配書を発行して協力を求めます。
    とくに赤手配書、いわゆるレッドノーティス(RED NOTICE)の手配は、引き渡しまたは同等の法的措置を目的として、手配された者の所在の特定および身柄の拘束を求めるというもので、その効力は国際的な指名手配と同じです

    ほかにも、日本はアメリカ・韓国との間で国外逃亡犯の引き渡しを約束する「犯罪人引渡し条約」を結んでいます。
    同国で所在が確認されると、外交ルートで引き渡し請求がなされて、逃亡先の国で身体拘束を受けたのちに、日本に護送されて逮捕されることになります。

    「海外に逃亡したら警察の手が及ばない」という発想は、現実には通用しないこともあると理解しておきましょう。

2、海外逃亡中に時効が成立すれば逮捕されないのか?

海外に逃亡しても、日本と各国警察の連携によって居所を探されたのちに身柄を確保されたりする可能性は高いといえます。

しかし、日本の法律には「時効」が存在します。
以下では、海外逃亡中に時効が成立すれば、逮捕が避けられるのかどうかについて解説します。

  1. (1)刑事事件における「時効」の考え方

    刑事事件における時効には「公訴時効」と「刑の時効」という二つが存在します。
    このうち、一般的に「時効」と呼ばれているのは、「公訴時効」のほうです

    公訴時効とは「検察官が刑事裁判を提起する際のタイムリミット」を意味します。
    公訴時効が過ぎると検察官が起訴されても免訴の判決となるので、通常は刑事裁判を開かれることもなくなり、刑罰も受けません。

    なお、もうひとつの刑の時効とは「刑事裁判において言い渡された刑の効力の期限」のことを意味します。
    通常、刑の言い渡しがおこなわれたあとで執行されずに期限が過ぎることはないため、刑の言い渡しの時効が問題になることはほとんどありません。

    公訴時効は、犯罪ごとに定められている刑罰の上限・下限などによって異なります。
    たとえば、詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役なので、少なくとも1か月、最長では10年の懲役が科せられます。
    公訴時効は刑事訴訟法第250条に定められており、詐欺罪は「最長15年未満の懲役・禁錮」にあたるため、公訴時効は7年となります。

  2. (2)海外逃亡中は時効が進まなくなる

    刑事訴訟法には時効の進行が停止する条件が定められています。
    同法第255条1項によると、犯人が国外にいる場合、または犯人が逃亡して有効な起訴状の謄本の送達や略式命令の告知ができなかった場合は、その期間の時効の進行が停止します

    たとえば、国内で詐欺罪を犯した人が犯行後すぐに国外へ逃亡し、逃亡先の国で10年が過ぎたとします。
    詐欺罪の時効は7年ですが、犯行後すぐに国外へ逃亡していれば、時効はほとんど進行していません。
    10年後も時効は完成していないので、日本に帰国すれば逮捕されるだけでなく、逃亡中でも現地警察によって身柄を確保されたのちに日本警察に引き渡されて逮捕される可能性があるのです。

3、海外逃亡後に逮捕されたらどうなる?

以下では、日本国内で罪を犯して海外に逃亡したうえで逮捕されたあとの、法的な手続きの流れを解説します。

  1. (1)勾留されて身柄拘束が長引く可能性が高い

    警察に逮捕されると、48時間を限界とした身柄拘束を受けたうえで、検察官へと引き継がれます。
    これが、ニュースなどでは送検とも呼ばれている「送致」という手続きです。

    送致を受理した検察官は、引き渡しを受けた被疑者の取り調べをおこなったうえで、さらに身柄を拘束するために「勾留」を請求するかどうかを判断します。
    勾留が必要かどうかは、容疑者が逃亡や証拠隠滅を図るおそれがあるかなどによって判断されますが、すでに海外逃亡を図った事実があるため、勾留される可能性は非常に高いでしょう。

    勾留が決定すると、原則として10日間、延長請求があればさらに10日間以内と、合計で最長20日間の身柄拘束を受けます

  2. (2)起訴される危険も高まる

    日本の法律では、罪を犯してもかならず刑罰を受けるわけではありません。
    刑罰を科せられるのは裁判を経て有罪判決を受けたときだけであり、刑事裁判が開かれるのは主には検察官が起訴したときです。

    令和4年版の犯罪白書によると、令和3年中に全国の検察庁で扱った事件のうち、刑法犯では36.8%、道路交通法違反を除く特別法犯では48.7%が起訴されており、残りは不起訴となっています。
    言い換えれば、刑法犯ではおよそ3分の2、特別法犯ではほぼ半数が起訴されず、刑罰も受けていないというのが現状です。

    ただし、検察官が起訴に踏み切るかどうかの判断には、事件後の振る舞いも大きな影響を与えます。
    罪を償う姿勢もなく国外に逃亡したという事実は厳しく評価されるため、起訴・不起訴の判断において不利にはたらいてしまい、起訴される可能性が高まるでしょう

  3. (3)厳しく処罰される可能性もある

    検察官が起訴に踏み切って刑事裁判が開かれると、裁判官がさまざまな証拠に照らして有罪・無罪を判断したうえで、有罪の場合は法律が定める範囲内でどの程度の量刑が適切なのかが検討されます。
    先に挙げたように、たとえば詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役ですが、最短では1か月、最長では10年にわたって刑務所に収監されることになるため、どのような量刑判断になるのかは大きな意味をもつのです。

    裁判官による量刑判断の基準はさまざまですが、事件後に海外へと逃亡すると、犯した罪に対する反省がないと評価されてしまうでしょう

4、罪を犯してしまったら海外逃亡する前に弁護士に相談を

海外に逃亡しても、日本国内で犯した罪が消えるわけではありません。
また、海外逃亡中は時効の進行が停止するので、逃亡を続けても解決は困難です。

長期の身柄拘束を避けたい、処分を軽減したいと考えるなら、海外に逃亡するよりも前に、まずは弁護士に相談してください。

  1. (1)逮捕・勾留による身柄拘束の阻止が期待できる

    弁護士に依頼すれば、逮捕の回避や勾留による身柄拘束の長期化を阻止できる可能性があります。

    逮捕を避けるために最も有効なのは、被害者との示談交渉です
    示談交渉とは、被害者に対して真摯(しんし)に謝罪して、事件によって生じた財産的損害や被害者の精神的苦痛への慰謝料を含めた示談金を支払って、当事者間でトラブルを解決する手続きです。
    被害者と示談して、許してもらうことができれば、被害者には「犯人を罰してほしい」という意思がなくなったという評価につながるため、警察が逮捕を見送って捜査を終結する可能性が高まるでしょう。
    また、すでに警察に逮捕されている状況でも、示談が成立していれば検察官が不起訴とする可能性も高まります。

    ただし、被害者との示談交渉は簡単ではありません。
    警察の捜査をかいくぐって被害者と接触するのは難しいうえに、すでに逮捕されているなら被害者と面会する機会をもつこと自体ができません。
    また、もし被害者と接触できても、海外逃亡を図った加害者からの申し入れを快く受け入れてもらえる可能性はきわめて低いといえます。

    被害者との示談交渉は、弁護士に依頼しましょう。

  2. (2)厳しい刑罰の回避が期待できる

    海外に逃亡したうえで逮捕された場合は、有罪となったときに反省していないと評価されやすくなります。
    刑罰の軽減を望む場合も、やはり被害者に対する真摯な謝罪や賠償はしたほうがよいので、積極的に示談交渉を進めるべきです。

    また、刑事裁判では被告人にとって有利な証拠をそろえて裁判官に示さなければなりません。
    深い反省を示して再犯防止を誓う、家族などによる監督の強化を誓約するなどの対策を尽くして裁判官にはたらきかける必要があるので、弁護士のサポートは重要です

5、まとめ

日本国内で罪を犯して海外への逃亡を図っても、出国前に手配されて逮捕されたり、逃亡先の警察に身柄を拘束されて日本警察に引き渡されたりすることがあるため、解決には至らないこともあります。
また、海外に逃亡すると犯罪の時効が進行しなくなり、何年が過ぎても逃亡生活が続くことになります。

罪を犯してしまったなら、海外逃亡などを試みるよりも、弁護士に相談するほうが良い場合があります。
弁護士に依頼したうえで、被害者との示談交渉などによって積極的に解決を図れば、逮捕・勾留による身柄拘束の回避や刑事処分の軽減などが期待できます。
まずはベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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