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インサイダー取引に時効はあるの? バレたらどうなるのか詳しく解説

2022年07月25日
  • 財産事件
  • インサイダー取引
  • 時効
インサイダー取引に時効はあるの? バレたらどうなるのか詳しく解説

平成25年、証券取引等監視委は広島県在住の会社員が金融商品取引法違反(インサイダー取引)をしたとして、79万円の課徴金納付命令を出すように金融庁に勧告しました。

令和4年にも、大阪市の会社の元社長ら2人がインサイダー取引で数千万円の利益を得たとして大阪地検に起訴されるなど、インサイダー取引に関わる事件は全国で起き続けています。

インサイダー取引は、株の取引で利益を得ようとして行われる、違法な行為です。本コラムでは、「インサイダー取引に心当たりがある…」という方にむけて、どんな行為がインサイダー取引にあたるのかということや、インサイダー取引に対して科される法律上の刑罰、インサイダー取引に時効があるかどうかなどについて、ベリーベスト法律事務所 福山オフィスの弁護士が詳しく解説します。

1、インサイダー取引の罰則

  1. (1)インサイダー取引とは

    インサイダー取引とは、株式市場の上場会社の関係者等が、自分の職務や地位によって知り得た、まだ公表されていない「重要事実」に関する情報を利用して株式を売買して、利益を図ろうとする行為を指します。
    このような取引がまかりとおれば、重大な情報を知ることができない一般の投資家が、情報を知っている投資家に比べて不利な立場で取引を行うこととなり、不公平が生じます。それにより、金融商品市場そのものの信頼性が損なわれるために、金融商品取引法はインサイダー取引を規制しているのです

    インサイダー取引に関する「重要事実」とは、「投資の判断に重大な影響を与える事実」を指します。
    たとえば、会社の合併、業務提携(業務提供の解消)、新製品の発表、業績予想の修正、破産や民事再生、事業の廃止などに関する情報などが重要事実にあたります。いずれも、公表されれば株価が変動することが予想される事実であるためです。

  2. (2)インサイダー取引の規制対象者は誰?

    インサイダー取引規制の対象となるのは、上場会社の「会社関係者」と、「会社関係者」から重要事実を受け取った「情報受領者」に限られます

    具体的には、以下のような者が「会社関係者」にあたります。

    ① 上場会社等の役員等
    上場会社等の取締役などの役員、代理人、従業員
    従業員には、正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員等も含みます。

    ② 上場会社等の帳簿閲覧権を有する者
    会社法上の帳簿閲覧権を有する株主(3%以上の議決権を有する株主)等のことです。

    ③ 法令に基づく権限を有する者
    上場会社等に対し、許認可権限や立ち入り検査権限といった法令上の権限を有する公務員等のことです。

    ④ 契約を締結している者、または契約の交渉をしている者
    取引先金融機関、税理士、公認会計士等、上場会社等と契約を締結している当事者、または締結の交渉をしている弁護士等のことです。

    ⑤ 帳簿閲覧の権利を持つ法人や、契約の締結または締結の交渉をしている法人の役員等
    上記➁または④に該当する者が法人である場合、その法人の役員等も対象となります。

    ⑥ 元会社関係者
    退職等によって会社関係者でなくなった場合、その時点から1年以内は規制の対象となります。


    上記の「会社関係者」以外の人で、その上場会社等の未公表の重要事実を会社関係者から知った人は「情報受領者」となり、この場合にもインサイダー取引規制の対象となるのです。

  3. (3)インサイダー取引の罰則規定

    インサイダー取引をした場合に与えられる罰則には、刑事罰と行政罰があります。

    刑事罰としては、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が定められています。懲役刑と罰金刑が両方出される場合もあります。さらに、インサイダー取引によって得られた利益は没収されます。
    また、法人がインサイダー取引をした場合には、5億円以下の罰金刑が定められているのです。

    行政罰は、課徴金を納付する命令という形で与えられます。
    具体的には、当該取引によって得られた利益に「相当」する金額(実際の買い付け・売り付け代金と公表後2週間の最高値・最安値の差額)を納付することになります

2、インサイダー取引の時効は何年か?

  1. (1)公訴時効の意味

    公訴時効とは、「犯罪が行われたとしても、法律の定める期間が経過すれば、犯人を刑事裁判において処罰することができなくなる」という制度です。
    具体的には、一定期間が経過した後は、検察官がその犯人を起訴することはできなくなります。
    したがって、起訴されるまでに公訴時効の期間が経過してしまえば、刑事罰に問われることはないのです。

  2. (2)インサイダー取引の公訴時効

    公訴時効の期間は、犯罪ごとに異なります。また、インサイダー取引の公訴時効は5年です
    なお、公訴時効の起算点は、原則として犯罪行為が終わった時から進行します。
    したがって、インサイダー取引に該当する行為が終わってから5年が経過すれば、公訴時効が成立して、刑事処分を受けることはなくなるのです。

3、インサイダー取引にあたるケースとは?

インサイダー取引が禁止されているということはわかっていても、具体的に誰のどんな行為がインサイダー取引にあたるのかについては、正確な判断が難しいこともあります。
以下では、インサイダー取引として規制対象となる行為について、具体例を挙げながら解説します。

  1. (1)インサイダー取引にあたるケース

    上場会社X社のある部門が、有名外資系企業と業務提携をする予定があるとします。
    このとき、業務提携は、投資判断に影響を与える「重要事実」にあたります。発表されれば、株価が値上がりすることが期待されますが、まだ正式に公表されていません。
    この段階で、次の登場人物の行為がインサイダー取引に該当するのかを検討しましょう。

    ① X会社の取締役Aさんは、社内幹部の会議で業務提携の予定を知り、証券会社を通じてX社の株式を購入しました。

    この場合、Aさんは、上場会社の役員ですから「会社関係者」にあたり、公開前の重要事実を知ってその会社の株式を買った行為は、まさにインサイダー取引に該当します。

    ② X社にパート従業員として勤めるBさんは、社内会議の資料を会議デスクに配布する準備中に、資料に書かれていた業務提携の事実を知りました。その後、BさんはX社を退職し、その1週間後にX社の株式を購入しました。

    Bさんは、X会社の従業員(正社員でもパートでも同じです)という立場で知り得た重要事実をもとに、X社の株式を購入しています。退社すれば、「会社関係者」ではなくなりますが、退社後の1年間は、「元関係者」として、その情報にかかる会社株式の売買は規制対象とされています。そのため、Bさんの株式購入が情報の公開前ならば、インサイダー取引に該当します。

    ③ スナックのママであるCさんは、店に客としてやってきたAさんから「誰にも言っちゃだめだよ、ママだからこっそり教えるね。」と耳打ちされて、業務提携の予定を知り、X社の株式を購入しました。

    Cさんは、X社とは直接関係ありません。しかし、Aさんという「会社関係者」から重要な事実を直接伝えられた人物ですので「情報受領者」に該当します。したがって、CさんのX社株式の購入も、インサイダー取引にあたるのです。

    このように、単なる知人であっても、また、妻や子どもなどの親族であっても、「会社関係者」から得られた重要事実に関する情報をもとに株式の売買をしてしまうと、インサイダー取引として規制される点に注意してください
    軽い世間話として聞いた場合でも、未公表の重要事実を知った場合には、その会社の株取引は控えなければならない、と考えたほうがよいでしょう。

  2. (2)利益を得ていない場合はどうなるか

    インサイダー取引に該当するかどうかは、株式の売買等の行為の時点で条件に該当していたかどうかという観点で判断されます。
    「その売買行為によって、実際に利益を得たかどうか」は問題となりません

    たとえば、上記の例で、AさんがX社の株式を購入したものの、実際にはさほど株式が値上がりせず、そのうちに、株価が下がり始め、結局のところ、購入時より損失を抱えた状態になっているとします。このようなケースについて、「利益を得ていないのだから問題はないのではないか」と考える人もおられるでしょう。

    しかし、インサイダー取引の規制は「売買等」自体を禁止するものです。
    Aさんは、会社関係者として重要事実を知り、その公表前にX社の株を購入した時点で「売買等」をしていますので、その時点でインサイダー取引の条件を満たしています。その後に損失が出ていたとしても、違法な売買等を行ったことに変わりはありません。
    つまり、Aさんが、売買で利益を上げたかどうかは、「インサイダー取引であるかどうか」の判断には影響しないのです。

4、インサイダー取引がバレた後の流れ

以下では、もしインサイダー取引がバレてしまった場合にはどうなるのか、その後の流れについてご説明します。

  1. (1)証券取引等監視委員会による調査

    株式市場には、公正で公平な取引がなされるように、常に監視の目が光っています。

    インサイダー取引が疑われる取引があれば、証券取引等監視委員会による調査が始まります
    証券取引等監視委員会とは、金融庁に属する審議会などのひとつです。株式取引等の公正の確保を目的に設置された機関で、インサイダー取引や有価証券報告書虚偽記載などついて、調査や告発、取引審査などを行っています。
    調査した結果、違法と判断された場合には、証券取引等監視委員会は検察庁に対象者を告発します。

  2. (2)逮捕・勾留

    証券取引等監視委員会による告発を受けた検察庁は、独自の捜査を開始し、嫌疑が固まれば犯人を逮捕します。
    その後、留置施設に身柄を拘束されて取り調べが続きます。これを「勾留」といいます。
    逮捕・勾留されている間は、自分の意思で外に出ることはできず、携帯電話も取り上げられ、外部と自由に連絡をとることはできません。
    その後、インサイダー取引を行ったということに関する証拠が積み上げられたら、検察官によって裁判所に起訴されます

  3. (3)裁判と判決

    検察官が起訴すると、刑事裁判が開始します。刑事裁判では、検察官が積み上げてきた証拠が提出され、証拠調べが行われます。また、インサイダー取引を行った被告人と関係者(証人)の尋問などもなされます。

    これらの手続きが終了すると、裁判官による判決と進みます。
    有罪判決が出されると、刑罰を受けて、前科も付くことになるのです

5、まとめ

インサイダー取引は違法行為であり、市場の公平性や健全性を害するものとして、厳しく取り締まられています。
最初の調査は証券取引等監視委員会が行いますが、その後は検察庁に進み、最終的には刑事裁判で重い処罰を下される可能性もある、れっきとした犯罪です。

もしインサイダー取引の容疑をかけられてしまったら、検察庁への告発や、検察による起訴を回避するために、迅速に対応することが必要となります

広島県福山市や近隣市町村にご在住で、自分が行った取引がインサイダーであった可能性があり不安を抱かれている方は、ベリーベスト法律事務所 福山オフィスにまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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