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家庭内別居の定義とは|離婚前に押さえておくべき基礎知識

2023年08月08日
  • その他
  • 家庭内別居
  • 定義
家庭内別居の定義とは|離婚前に押さえておくべき基礎知識

令和3年の広島県福山市の婚姻件数は3863件、離婚件数は1044件でした。

結婚当初は仲が良かったものの、次第に疎遠になって家庭内別居の状態となってしまう、ということがあります。法律的には「家庭内別居」の定義が明確に定められているわけではありませんが、具体的な事情によっては、裁判で離婚が請求できる可能性もあります。

本コラムでは、家庭内別居の定義や生活費がもらえない場合の対処法、裁判で離婚が認められるかどうか、離婚時に検討すべきことなどについて、ベリーベスト法律事務所 福山オフィスの弁護士が解説します。

1、家庭内別居の定義は?

「家庭内別居」に法的な定義はありませんが、一般的には、以下のすべてに当てはまる状態の夫婦のことを指します。

  • ① 婚姻関係が継続している
  • ② 同じ場所に暮らしている
  • ③ 夫婦間の交流が全くない(またはほとんどない)


たとえば、以下のような事情が複数存在すれば、家庭内別居と評価できる場合が多いでしょう。

  • 1日の中で夫婦の会話がほとんどない
  • 家賃以外の生活費を一切分担せず、それぞれが独立して生活費を負担している
  • 長期間にわたって性交渉が一切行われていない
  • 自宅内で夫婦の生活エリアが完全に分かれている(例:夫は書斎にこもりきり、妻はリビングにずっといる)
など

2、家庭内別居で生活費がもらえない場合の対処法

家庭内別居の夫婦間では、家賃以外の生活費を全く分担しないケースも多くあります。

お互いに合意したうえで生活費を分担しないことは問題ありませんが、配偶者が一方的に生活費の分担を拒否している場合には、以下のような対応を検討しましょう。

  1. (1)婚姻費用を請求する

    婚姻している夫婦は、資産・収入その他一切の事情を考慮して、生活費などの婚姻費用を分担する義務を負います(民法第760条)。

    ご自身の収入が配偶者よりも少ないのに配偶者が生活費などの分担を拒否しているという場合には、配偶者に対して婚姻費用を請求できる可能性が高くなります
    離婚も併せて請求する場合は「離婚調停」、離婚しない場合は「婚姻費用の分担請求調停」を申し立てて、婚姻費用を請求しましょう。

  2. (2)離婚を請求する

    婚姻費用(生活費など)の分担を拒否することは、夫婦の扶助義務(民法第752条)を正当な理由なく放棄する行為であるため、「悪意の遺棄」(民法第770条第1項第2号)に該当する可能性があります。

    悪意の遺棄は法定離婚事由のひとつであるため、離婚訴訟において認定されれば、配偶者が拒否しても強制的に離婚することができます
    家庭内別居中の配偶者への愛想を尽かしている場合には、離婚請求も検討しましょう。

3、家庭内別居そのものを理由に離婚することは可能か?

配偶者と家庭内別居の状態にある方は、離婚をして夫婦関係をリセットしたいと考えることも多いでしょう。

以下では、家庭内別居を理由にして離婚できるかどうかについて、離婚手続きの種類ごとに解説します。

  1. (1)協議離婚・調停離婚なら当事者の合意があれば離婚できる

    夫婦間の話し合いによって離婚することを「協議離婚」、家庭裁判所の離婚調停を通じて離婚することを「調停離婚」といいます。

    協議離婚と調停離婚は、いずれも夫婦の合意によって離婚する手続きです。
    夫婦関係においては当事者の合意が尊重すべきとされているため、協議離婚と調停離婚については、法定離婚事由がない場合でも、当事者の合意があれば離婚することができます。

    そのため、家庭内別居をきっかけとする場合でも、協議離婚または調停離婚であれば、問題なく離婚が認められるのです。

  2. (2)裁判離婚は法定離婚事由が必要

    裁判所に離婚訴訟を提起して、判決に従って強制的に離婚することを「裁判離婚」といいます。
    裁判離婚は、夫婦のいずれか一方が離婚を拒否しているなどの理由から離婚調停が不成立となった場合の最終手段といえます。

    裁判離婚が認められるためには、以下のいずれかの法定離婚事由が必要です(民法第770条第1項)。

    • ① 不貞行為
    • ② 悪意の遺棄
    • ③ 3年以上の生死不明
    • ④ 強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
    • ⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由


    家庭内別居をきっかけとする場合にも、裁判離婚を認める判決を得るためには、法定離婚事由のいずれかが存在することを主張しなければなりません。
    たとえば以下のような事情があれば、法定離婚事由が認められて裁判離婚ができる可能性が高いといえるでしょう。

    (例)
    • 配偶者が別の異性と不倫をしていた
    • 配偶者の方が多くの収入を得ているのに、生活費の分担を一切拒否されている
    • 配偶者から口汚い侮辱をたびたび受けている
    • 配偶者が無断で長期間留守にし、ほとんど帰ってこない


    裁判離婚を目指すにあたっては、法定離婚事由を立証できるだけの証拠を十分にそろえることが大切です
    確保する証拠の内容や種類、証拠を収集する方法などについては、弁護士に相談すればアドバイスを受けることができます。

4、配偶者と離婚する際に考えておくべきこと

配偶者との離婚を目指す際には、どのような離婚条件を主張するか、十分に検討することが大切です。

具体的には、以下のような条件について検討しておく必要があります。

  • ① 財産分与・年金分割
  • ② 慰謝料
  • ③ 婚姻費用
  • ④ 子に関する事項|親権・養育費・面会交流


  1. (1)財産分与・年金分割

    夫婦のいずれかが婚姻中に取得した財産は、原則として財産分与の対象となります(相続や贈与によって取得したなど、自己の名で得た財産を除く。民法第762条1項、2項)。

    財産分与の内容や割合は話し合いで決めるのが原則ですが、最終的に裁判離婚となった場合には、半分ずつの財産分与が認められるケースが多いです。

    適正に財産分与を行うためには、対象となる財産を漏れなく把握しておくことが大切です。配偶者による財産隠しが疑われる場合には、弁護士に調査を依頼することも検討してください。

    また、婚姻期間中の厚生年金保険加入記録の分割を請求することもできます。これを「年金分割」といいます。
    年金分割の按分割合の定め方は、合意分割制度による方法と3号分割制度による方法があります。合意分割制度による方法は、当事者双方の合意または裁判手続により、年金分割の按分割合を定めることになります。3号分割制度による方法は、平成20年5月1日以後に離婚等をし、国民年金の第3号被保険者であった方が、単独で、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の3号被保険者期間における年金分割の按分割合を2分の1ずつとすることを請求することができるというものです。

  2. (2)慰謝料

    離婚の原因がいずれか一方にある場合、その相手方は離婚慰謝料を請求することができます。

    家庭内別居をきっかけとする場合でも、配偶者が法定離婚事由に相当する行為をした場合には、配偶者に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

    (例)
    • 不貞行為
    • DV
    • モラハラ
    • 無断での長期外出


    配偶者の行為がとくに悪質な場合には、高額の離婚慰謝料が認められる可能性があります。
    反対に、ご自身が上記のような行為をした場合には、配偶者から離婚慰謝料を請求される可能性がある点について、十分に注意しましょう

  3. (3)婚姻費用

    家庭内別居の状態となって以降、生活費の分担が行われていない場合には、離婚時に婚姻費用を精算することになります。

    基本的には、収入の多い側が少ない側に対して婚姻費用を支払う義務を負います。
    婚姻費用の請求に備えて、配偶者の収入を示す資料(給与明細・源泉徴収票・確定申告書など)をコピーしておきましょう。

    裁判所が公表している「婚姻費用算定表」を用いれば、婚姻費用の金額を算定するための相場を知ることができます。

  4. (4)子に関する事項|親権・養育費・面会交流

    夫婦の間に子どもがいる場合は、親権や養育費などの条件についても検討しておきましょう。

    ① 親権
    子どもの親権者を父母のどちらにするかを決めます。
    親権者は原則として話し合いで決定しますが、まとまらなければ離婚訴訟によって、子どもの利益の観点から親権者が決定されます。
    離婚訴訟における親権者の決定にあたっては、監護状況・生活状況や子どもの意思などがとくに考慮すべき要素になります。

    ② 養育費
    離婚後に子どもと同居しない親は、子どもと同居する親に対して養育費を支払う義務を負います。
    離婚時には、毎月支払う養育費の金額に支払いの方法、支払いの終期などを合意しておきましょう。
    婚姻費用と同じく、裁判所が公表している「養育費算定表」を用いれば、金額を算定するための相場を知ることができます。

    ③ 面会交流
    離婚後に子どもと同居しない親が子どもと面会交流する際のルールについても、離婚時に決めておくべきです。
    面会交流の頻度や内容、子どもの受け渡し方法や連絡手段などについても、あらかじめ合意を成立させておきましょう。

5、まとめ

「家庭内別居」という言葉に法律上の定義はありませんが、夫婦が同じ場所に暮らしているのに夫婦間の交流がほとんどない状況であれば、家庭内別居ということができます。

家庭内別居中の配偶者に対しては、離婚を請求できる可能性があります。
実際に離婚を目指すにあたっては、さまざまな離婚条件について事前に検討する必要があるため、弁護士に相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、離婚に関するご相談を承っております。
家庭内別居によって夫婦生活が冷え切ってしまい、配偶者との離婚を検討している方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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