バイトをばっくれたら損害賠償を請求すると言われた! 対処法は?
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令和2年に広島地方裁判所福山支部・福山簡易裁判所で受理された民事事件の総数は3811件でした。
アルバイトに採用されたものの、嫌気がさして無断欠勤(ばっくれ)を続けた場合、アルバイト先とトラブルになる可能性は非常に高いでしょう。もしアルバイト先に損害賠償を請求されたり、給料の支払いを拒否されたりした場合は、お早めに弁護士まで相談することをおすすめします。
本コラムでは、バイトを無断欠勤した場合における損害賠償責任の有無やすでに働いた分の給料の取り扱いなどについて、ベリーベスト法律事務所 福山オフィスの弁護士が解説します。
1、バイトをばっくれたらどうなるのか?
バイトを無断欠勤した場合、業務に穴が空いてしまうなど、バイト先に迷惑がかかってしまうことになります。
バイト先からは、状況確認の連絡が来るでしょう。未成年者の場合、本人が返事をしなければ、保護者に対して連絡が行くかもしれません。
さらに、バイト先から損害賠償を請求されたり、すでに働いた給料の支払いを拒否されたりする可能性もあります。
このようなバイト先とのトラブルは、できる限り避けたいところでしょう。
やむを得ない事情によって欠勤しなければならない場合や、仕事に嫌気がさして退職したくなった場合には、後にトラブルを回避するため、無断でバイトを欠勤すべきではありません。
できる限り事前に連絡したり、事前連絡ができなかったりした場合にも速やかに欠勤理由を説明するように努めましょう。
2、バイトをばっくれた場合、損害賠償を請求されるのか?
バイトを無断欠勤した場合には、バイト先に対する損害賠償責任が発生する可能性があります。
以下では、アルバイトの無断欠勤と損害賠償請求の関係について解説します。
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(1)法的には損害賠償責任が発生する
法律的には、バイトを無断欠勤することは、会社と締結している労働契約に違反する行為になります。
もし無断欠勤によって会社に損害が生じた場合、従業員は債務不履行に基づき、会社に生じた損害を賠償する義務があります(民法第415条第1項)。
アルバイトであっても例外ではなく、無断欠勤をすると、法的には会社に対する損害賠償責任が発生する可能性がある、という点に注意してください。 -
(2)バイト先が損害を立証する必要がある
バイト先の店舗が無断欠勤をしたアルバイト従業員に対して損害賠償を請求する場合には、損害の存在を店舗が立証しなければなりません。
無断欠勤によってバイト先に生じる損害の例としては、以下のようなものがあります。- 重要な取引機会を失い、売り上げが減少した
- 人手不足によってミスが増え、顧客に対する損害賠償責任が発生した
上記のような損害とアルバイトの無断欠勤の間に社会通念上相当な因果関係(相当因果関係)が存在することをバイト先が立証できた場合に初めて、アルバイトの損害賠償責任が認められるのです。
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(3)バイトに対する損害賠償請求はほとんど行われない
アルバイトは正社員と異なり、バイト先の業務において補助的な役割を担うにすぎないことが一般的です。
したがって、仮に上記のような損害が店舗に発生したとしても、それがアルバイトの無断欠勤によってもたらされたことを立証するのは困難であることが多々あります。
また、アルバイトの無断欠勤によって生じる損害は、比較的少額にとどまることが多いでしょう。
したがって、一般論としては、バイト先がコストと労力をかけてまでアルバイトに対して損害賠償を請求する可能性は低いと言えるのです。
上記のような理由から、法律上は無断欠勤によって損害賠償責任が発生するとしても、実際にアルバイトが会社から損害賠償請求を受けることは珍しいのです。
3、バイトをばっくれた場合、すでに働いた分の給料はどうなる?
バイトを無断欠勤した場合、バイト先が「未払いの給料を支払わない」「給料から損害賠償金を天引きする」と主張する場合があります。
しかし、無断欠勤をしたとしても、すでに働いた分の給料は全額受け取れます。また、損害賠償金を給料から天引きすることは違法です。
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(1)労働契約に従って給料は支払われる
無断欠勤をしたとしても、すでに働いた分の給料は、労働契約に従って支払われます。
労働者の給料は、労働契約上の賃金支払の定めに基づき発生するものです。通常、賃金支払の定めは、働いたら支払うべきというものとして解釈されます。
無断欠勤をしたからといって、すでに働いた事実がなかったことにはならないので、会社は労働者に対して、働いた分の給料の全額を支払う必要があるのです。 -
(2)損害賠償金の給料天引きは不可
損害の存在が証明できるなら、無断欠勤を理由に会社が労働者に対して損害賠償を請求することは可能です。
しかし、会社が給料から損害賠償金を勝手に控除する(天引きする)ことは認められません。
損害賠償金の控除は、賃金全額払いの原則(労働基準法第24条第1項)に違反するためです。
会社が労働者に対して無断欠勤の損害賠償を請求するとしても、すでに発生している給料を全額支払ったうえで、別途に請求する必要があるのです。
4、バイト先に給料支払いを拒否された場合の対処法
無断欠勤を理由として、バイト先に給料の支払いを拒否された場合には、以下のような方法で対処することができます。
- 会社の契約違反・労働基準法違反を指摘する
- 労働審判を申し立てる
- 訴訟を提起する
- 弁護士に相談する
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(1)会社の契約違反・労働基準法違反を指摘する
バイト先がすでに働いた分の給料を支払わないことは、労働契約違反かつ労働基準法違反に当たります。
そのため、給料不払いは違法であることを指摘して、早急に給料全額を支払うよう求めましょう。
バイト先と交渉する際の材料としては、「支払いを拒否すれば労働基準監督署に申告する」「労働審判の申し立てや訴訟提起を行う」などと警告することが考えられます。
バイト先としても、労働基準監督署による行政指導や労働審判、訴訟への対応は通常避けたいところなので、労働者側の請求に応じる可能性があるでしょう。 -
(2)労働審判を申し立てる
バイト先が未払い給料の支払いに応じない場合は、労働審判を申し立てることが考えられます。
労働審判は、労使間の紛争を解決することを目的とした、非公開の法的手続きです。
審理は原則として3回以内で終結するため、迅速な解決が期待できます。
労働審判では、調停または裁判官1名・労働審判員2名による労働審判委員会によって、労使紛争の解決が図られます。
労働者側としては、給料が未払いになっている事実を証拠に基づいて立証すれば、有利な解決を得られる可能性が高いでしょう。
なお、労働審判に対して、審判書の送達または審判の告知から2週間以内に異議申し立てが行われた場合には、自動的に訴訟手続きへ移行します。 -
(3)訴訟を提起する
未払い給料を請求するための最後の手段は、裁判所に訴訟を提起することです。
労働審判から移行する場合のほか、労働審判を経ずに訴訟を提起することもできます。
訴訟では、未払い給料の存在を証拠に基づいて立証して、給料の支払いを命ずる判決を求めます。
裁判所が労働者側の主張を認めた場合には、会社に対して給料の支払いを命ずる判決が言い渡されます。
訴訟手続きは長期化することが多く、根気強い対応が求められます。
ただし、未払い給料の請求額が60万円以下の場合は、使用者側が同意することを条件として「少額訴訟」を利用できます。
少額訴訟の場合、審理が原則として1回で終結するため、早期解決が期待できます。 -
(4)弁護士に相談する
無断欠勤を理由に損害賠償請求を受けたり、給料の支払いを拒否されたりした場合には、弁護士に相談してください。
弁護士は、法律の専門家として、労働契約や労働基準法に照らして事案を分析してバイト先の主張に対してどのように対応すべきかを具体的にアドバイスすることができます。
バイト先から無断欠勤の責任を追及され、どうしていいかわからない場合には、一人で抱え込まず、お気軽に弁護士へご連絡ください。
5、まとめ
アルバイトを無断欠勤した場合、法的には、バイト先から損害賠償を請求される可能性があります。
ただし、損害の立証が困難であることや、損害が比較的少額にとどまることなどを考慮すると、実際にバイト先から損害賠償請求を受ける可能性は低いでしょう。
無断欠勤を理由に、すでに働いた分の給料を支払わないことや、損害賠償金を給料から控除することは労働基準法違反です。
もしバイト先が給料の支払いを拒否したり、または給料から勝手に天引きされたりした場合には、弁護士に相談してください。
ベリーベスト法律事務所は、労使トラブルに関する労働者からのご相談を随時受け付けております。
未払い給料の請求などについても、ご状況に合わせて具体的な解決策をアドバイスいたします。
バイト先とトラブルになってしまった方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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